無機高分子
ケイ素
ケイ素の結晶は、下に示したようにダイヤモンド型である。黒色の玉(Node)がSi原子で、1個のSi原子を正四面体の中心に置くと、中心のSiと4つの頂点のSiとがそれぞれ共有結合で結びついた構造がケイ素の結晶構造である。
クリストバライト
二酸化ケイ素(SiO2)の結晶には、石英(水晶)以外にも様々な構造(結晶多形)がある。その一つにクリストバライトがあり、クリストバライトは、ケイ素同様にダイヤモンド型であり、ケイ素(黒色の玉)とケイ素の間に酸素原子(赤色の玉)が入った構造である。同じ14族でも炭素の酸化物は、二酸化炭素 CO2 という分子を形成するのに対して、二酸化ケイ素 SiO2 の方は共有結合結晶を形成するのは、CとOとの共有結合は強く、SiとOとの共有結合は弱いという点にも起因する。
オルトケイ酸イオン
オルトケイ酸イオン SiO44-が多数結合することで、ケイ酸塩の骨格構造ができる。オルトケイ酸イオンは、次に示すように、正四面体の中心のSi原子(黒色の玉)と4個の頂点の酸素原子(赤色の玉:−の電荷を帯びている)がそれぞれ共有結合で結びついてできたイオンである。尚、オルトケイ酸イオンどうしで全てのO原子を共有して3次元網状構造をつくったものが、二酸化ケイ素である。
オルトケイ酸イオンは、かんらん石(Mg,Fe)2SiO4、ジルコン ZrSiO4、ざくろ石(Mg,Fe)3Al2(SiO4)3、トパーズ (AlF)2SiO4 などに見られる。
二ケイ酸イオン
オルトケイ酸イオン SiO44-2つがO原子1個を共有することで結合して出来たイオンが二ケイ酸イオン Si2O76- である。二ケイ酸イオンは、トルトバイタイト (Sc,Y)Si2O7 や 異極鉱Zn4(Si2O7)(OH)2・H2O) などに見られる。
ソロケイ酸イオン(三員環)
オルトケイ酸イオン SiO44-2つがO原子1個を共有することで群を作って結合して出来たイオンがソロケイ酸イオンであり、次のものは三員環のものである。化学式は Si3O96- である。このイオンは、ベニトアイト(benitoite) BaTiSi3O9 中に存在する。
ソロケイ酸イオン(六員環)
オルトケイ酸イオン SiO44-2つがO原子1個を共有することで群を作って結合して出来たイオンがソロケイ酸イオンであり、次のものは六員環のものである。化学式は Si6O1812- である。このイオンは緑柱石(beryl) Be3Al2Si6O18 などに見られる。
イノケイ酸塩(その1)
オルトケイ酸イオンどうしで2つの酸素原子を共有して、1次元の鎖状に繋がった巨大なイオン(組成式 SiO32-:1つのSi原子にO原子が4個結合しているが、この内2個は隣りのSi原子とも結合しているので、1つのSi原子に対して1/2個結合していることになるので、1/2×2個=1個分ということになる。また、Si原子と単独で結合しているO原子は2つあり、ここには−の電荷があるので、1つのSi原子当たり2−の電荷があることになる)からなる塩をイノケイ酸塩という。透輝石CaMg(SiO3)2や頑輝石MgSiO3、リチア輝石 LiAl(SiO3)2 などの輝石類やケイ灰石CaSiO3などがこれに該当する。
イノケイ酸塩(その2)
オルトケイ酸イオンどうしで2つの酸素原子を共有して、2本のSi-O-Si結合で鎖状に繋がった巨大なイオン(組成式 Si4O116-)からなる塩もイノケイ酸塩という(amphibole型)。このイオンは、透閃石(tremolite) Ca2Mg5(Si4O11)2(OH)2などに見られる。
ゼオライトの部品(ソーダライト)
オルトケイ酸イオン SiO44-やAlO45-どうしが2つの酸素原子を共有する形で繋がり、SiやAlが切頂八面体の頂点を形成するような立体がゼオライト(アルミノケイ酸塩の1つ)を構成する部品で、この部品はソーダライトとも呼ばれる。Zomeでソーダライトの構造を作るのは難しいので、デフォルメしたソーダライトを作成してみた。下の図で、黒玉はSiやAl原子であり、赤玉は酸素原子である。Si-OやAl-Oの結合は青のStrutで作成したが、Si-O-Si や Al-O-Al は実際の結合角とは異なる。尚、緑のStrutはSiやAl原子を繋いでいくと切頂八面体になることが分かるようにする為に用いただけであり、実際の共有結合を表してはいない。ソーダライトを切頂八面体の正六角形の面から見ると、Si(or Al)が6個あり、Si-O-Si(or Al-O-Al)の結合(青のStrut)が6つあることが分かるであろう。また、ソーダライトを正方形の面から見ると、Si(or Al)が4個あり、Si-O-Si(or Al-O-Al)の結合(青のStrut)が4つあり、Si-O-が4つあることが分かるであろう。従って、ソーダライトの組成式は、全てSiとOで出来ているとすると、Si2O52-となることになる。