炭素の同素体
炭素の同素体としては、グラファイト(黒鉛)・ダイヤモンド・フラーレン・カーボンナノチューブなどがある。
これらの結晶ないしは分子構造をZomeで作成し、眺めてみることにした。
尚、Zome(ゾムツール : Zometool とも呼ばれる)は、知育玩具の一つであり、アメリカのゾムツール社(Zometool Inc.)が開発・製造・販売を行っている。日本に於けるゾムツール日本輸入総代理店は、株式会社イメージミッション木鏡社となっている。
グラファイト
グラファイト(graphite)は、C原子どうしが二重結合と単結合との中間的な結合(sp2-sp2結合)で、六角形を形成し、同一平面上に広がった層状分子(これをグラフェンという)を構成している。下の写真で青の棒で示したものが、この結合である。そして、グラフェン(各層)どうしが分子間力で弱く結びついて(この結びつきの一部を黄色の棒で示している)、全体の結晶が形成されている。尚、下の写真は、通常のグラファイトに見られるα-グラファイトの結晶構造をZomeで作成したものである。結晶構造で注意すべき点は、グラフェンの重なりにズレがあるという点である(右の図)。
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グラファイト(横から) | グラファイト(上から) |
ダイヤモンド
ダイヤモンドは、C原子どうしが全て単結合(sp3-sp3結合)で繋がった結晶構造をとっている。即ち、1つの正四面体の中心にC原子が位置し、正四面体の各頂点にあるC原子と共有結合(単結合)で強く結合している形で、次々に結合しているのがダイヤモンドである。下図左では、単結合は黄色棒で示している。下図中と右は、ダイヤモンド結晶の単位格子を示している。単位格子(立方格子)の1辺は青の棒2本で示されており(残念乍らZomeではこの立方格子1辺の長さの棒はないので、途中切れてしまっているが、2本の棒で代用している)、立方体の頂点と面の中心及び内部に4個のC原子が配置されている。尚、黄色棒が結合を表しており、青や緑の棒は原子(Zomeではノードと呼んでいる)を支える為の棒である。右図は立方体を少し回転させたもので、これを見ると単位格子が左の結晶構造の一部になっていることが明らかになると思う。
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ダイヤモンド | ダイヤモンド結晶の単位格子 | ダイヤモンド結晶の単位格子 |
フラーレン
フラーレン(fullerene)はC原子で構成されるクラスターの総称であり、1985年、C60分子でできているサッカーボール状の分子(バックミンスターフラーレン)が、この中で最初に発見されている。下の図はバックミンスターフラーレンをZomeで構築したものである。C60分子では、6員環(正六角形)の数は20個、5員環(正五角形)は12個である。バックミンスターフラーレンはサッカーボールと同じ5・6員環の配置をもつため、サッカーボール分子とも呼ばれる。図(Zome)では、青色の棒が共有結合を示している。
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バックミンスターフラーレン |
カーボンナノチューブ
ナノチューブ(nanotube)とも言う。1991年に飯島澄男によって発見された炭素の同位体。一端が閉じた(閉じるのに五員環が6つ使われる)管状構造の分子で、管状部分は六員環から形成される。カーボンナノチューブは単層のもの(シングルウォールナノチューブ)だけではなく、多層の同軸管状構造を取るもの(マルチウォールナノチューブ)もある。Zomeのstrutはしなやかには曲がらないので、青と黄色の2種類のstrutで構築せざるを得なかった。実際には、モルタロウで示したように、どの炭素-炭素結合もsp2-sp2結合でできている。
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カーボンナノチューブ | カーボンナノチューブ |
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内側から眺めた図 | モルタロウで作成したもの |